専任技術者になるためには、許可申請者の役員や従業員の中に、
「業種ごとに定められた資格を持つ」
「一定年数以上の実務経験も持つ」
このどちらかを満たす人がいなければなりません。

資格については、有るか無いかの問題ですのでわかりやすいですが、
実務経験の有無は、いろいろな観点でチェックするので判断が難しいです。

実務経験とは

建設工事に関する技術上の経験となります。
具体的には、実際に工事の施工に従事した経験や、工事の施工を指揮・監督した経験、工事発注に当たって設計技術者として設計に従事した経験、現場監督としての経験を指します。

工事現場における単純な雑務や事務作業は実務経験とは認められません。

実務経験を証明するための資料

実務経験を証明するには、二つの観点に分けて資料を用意する必要があります。
「工事を行っていたかの証明」と「在籍していたかの証明」です。
この二つが用意できた期間が実務経験として認められます。

工事を行っていたかの証明

実務経験としたい期間に在籍していた事業体(会社や個人事業主)が、許可を受けたい業種に関する工事を行っていたかを証明します。

工事を行っていたかは、「建設業許可を持っていたか」、もしくは「請負工事の書類があるか」で判断します。

建設業許可を持っていたか

許可を受けたい業種に関する建設業許可を持っていれば、その許可が有効となる期間、許可をもつ業種に関して工事を行っていたと見なされます。

例:許可を受けたい業種が大工工事の場合
●在籍していた会社が大工工事の建設業許可を持っていた
→大工工事の許可が有効である期間、大工工事を行っていたことの証明となります。

請負工事の書類があるか

請負工事の書類については、契約書や注文書、請求書と入金の確認ができる通帳等が必要となります。
地域により異なりますが、年間1件の書類があれば、その1年は工事を行っていたことの証明となります。厳しい地域だと月1件の書類が必要となる場合もあります。

例:許可を受けたい業種が大工工事の場合
●在籍していた会社が許可は持っていないが大工工事を施工し書類が用意できる
→大工工事に関する書類が用意できた期間、大工工事を行っていたことの証明となります。

在籍していたかの証明

上記の工事を行っていた期間に、実際にその事業体に在籍していたかを証明します。
基本的には、年金事務所にて社会保険(厚生年金)の加入記録を取ることで、その事業体に在籍していた期間がわかります。

しかし、社会保険に加入していないと加入記録は取れません。
この場合は、在籍していた期間分の「住民税特別徴収税額通知書」や「源泉徴収票」、「源泉徴収簿」などが必要となります。※地域により認められる書類は異なります。

実務経験は業種ごとに独立が原則です

実務経験は、ある業種の実務経験とする期間は他の業種の実務経験とは認められません。実務経験は複数の業種において重複して計上することができないのです。

例えば、大工工事と電気工事の許可を取得したい場合を考えます。

問題無いパターン

大工工事としての実務経験は平成5年から14年までの10年間
電気工事としての実務経験は平成15年から平成24年までの10年間

大工工事と電気工事の両方の専技要件を満たします。

問題となるパターン

大工工事としての実務経験は平成10年から19年までの10年間
電気工事としての実務経験は平成15年から平成24年までの10年間

平成15年から19年は大工・電気の二つの実務経験となります。
この期間はどちらかの業種でしか実務経験と認められません。

そのため、大工と電気どちらか一方の専技要件しか満たせません。

実務経験の例外措置

実務経験は特定学科を卒業していない限り、10年間が必要とされています。
しかし、一部業種については、一定の条件を満たした場合に期間が短縮されます。

また、ある業種については、別の業種の実務経験として認められる場合もあります。

詳しくは専任技術者の実務経験の緩和措置をご覧ください。

タテル行政書士事務所
Return to Top ▲Return to Top ▲